2026年2月28日、中東情勢の緊張が一段と高まった。イスラエルがイランへの軍事攻撃を開始し、米国がそれに加わったと複数の大手メディアが報じている。世界の原油の約2割が通過するホルムズ海峡を抱える地域で始まったこの事態は、日本を含む世界各国に波紋を広げつつある。
「先制攻撃」という言葉が飛び交う夜
ロイターは2月28日06:34(UTC/日本時間15:34)に、ロイターやAP、ガーディアンなど複数の大手メディアが相次いで関連速報を配信したと伝えた。
「イスラエルが対イランの先制攻撃を開始した」——。
テヘラン(イランの首都)では爆発が報じられ、イスラエル国内では学校や職場に制限が課され、全国的な警戒態勢が敷かれた。
その後、米国トランプ大統領が「major combat operations(大規模な戦闘作戦)」の開始を公表したとロイターが報道した。米国も作戦に参加していると伝えられている。
そもそも、なぜイランが標的なのか
この問いに答えるには、数十年にわたる中東の緊張を理解する必要がある。
イランは長年、核開発プログラムを進めてきた。「核」という言葉が出てくると難しく聞こえるが、要は「核兵器を作れる能力を持つ国家」になりつつあるのではないか、という懸念が国際社会に根強くある。イスラエルにとってイランは地政学上の宿敵であり、イランの核兵器保有は「国家の存続を脅かす脅威」として認識されてきた。
今回の攻撃について、イスラエル側高官はロイターに対し、「数か月単位の準備を経て、実施日は数週間前に決定した」という趣旨を語ったと報じられている。つまり、今日突然の決断ではなく、周到に計画された軍事行動だということになる。
「先制」「予防」——言葉の背後にある論理
イスラエルが使った「先制(pre-emptive)」「予防(preventative)」という言葉には、国際法的な意味合いが込められている。
「先制攻撃」とは、相手が攻撃してくる前に自分から仕掛ける攻撃のことだ。国際法上は「自衛権の行使」として正当化される場合もあるが、その解釈には各国・法学者の間で大きな議論がある。ガーディアンなどの欧米メディアは、トランプ政権の強硬な姿勢や、この攻撃の「合法性」「政治的正当性」といった論点も絡めて報じている。
イランの「報復」と広がる波紋
報道によれば、イスラエル側はイランからミサイルが発射されたと発表した。APなどは、イラン側がミサイルやドローンで報復し、イスラエルに加えて湾岸地域の米軍拠点にも攻撃が及んだ可能性があると伝えている。
ただし、報復の規模や具体的な被害については、本稿執筆時点で流動的であり、確定的な情報は限られている。
さらに、周辺国への余波も報じられている。イスラエルやイランの空域対応に加え、UAEなど近隣諸国で空域の閉鎖・制限が広がったとの情報があり、中東を行き来する民間航空機の運航にも影響が出ている可能性がある。
日本にとって「他人事」ではない理由
この紛争が「遠い中東の話」では済まない理由が、エネルギーだ。
日本が輸入する原油の多くは中東から来ており、その多くがホルムズ海峡を通過する。ホルムズ海峡はペルシャ湾と外洋を結ぶ要衝で、入口・出口でおよそ50キロ、最も狭い地点で約33キロとされる。ここを封鎖されると世界の原油供給に深刻な影響が出る。
Bloombergは今回の事態を受け、早い段階から「日本の原油調達リスク」という観点で報道している。ただし、現時点でホルムズ海峡が封鎖されたという公式発表や確定情報は確認されていない。市場では輸送リスクが意識され、原油相場の上昇などが伝えられている一方、今後の航行や保険・運賃への波及は、公式発表と続報を切り分けて追う必要がある。
また、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の産油国が集まる「OPEC+」の会合が日曜日に予定されており、供給不安を受けて想定以上の増産が検討される可能性も報じられている。
各メディアの「視点」の違い
今回の事態は、メディアによって報じ方に大きな違いがある。
- ロイターは抑制的なトーンで、攻撃の経緯・米側の声明・地域への波及を淡々と積み上げる。
- APは現場の危機管理情報(迎撃、空域閉鎖、米軍基地への影響など)を詳しく伝える。
- ガーディアンはトランプ政権の強硬姿勢や攻撃の政治的・法的論点にも踏み込む。
- アルジャジーラ(カタールに本拠を置く中東の衛星放送局)は、テヘランの状況や民間人への影響を重視した視点で報じる傾向がある。
- 日本の主要メディアは、核交渉の経緯なども含めて国内読者向けに要約した速報を中心に伝えている。
どのメディアが「正しい」というわけではない。それぞれの立場や焦点の違いを意識しながら、複数の情報源を並べて読むことが、混乱した事態を把握するうえで重要になる。
いま「わからないこと」
速報の段階では、わかっていないことの方が多い。現時点で未確定の主要項目を挙げておく。
- 攻撃の対象がどこだったのか(核関連施設なのか、軍事拠点なのか、政府中枢なのか)
- 双方の死傷者数や被害の規模
- イランの報復がこれからどの程度まで拡大するのか
- ホルムズ海峡の航行に公式な制限が出るかどうか
- 米国がこの作戦をどこまで続けるつもりなのか(地上戦に踏み込む可能性はあるのか)
おわりに
2026年2月28日に起きたこの事態が、今後どのような展開をたどるかは誰にもわからない。ただ確かなのは、中東の緊張が「地域の問題」ではなく、エネルギー・物流・市場を通じて世界中の日常生活と直結しているという事実だ。
続報を追うにあたっては、「何が公式に確認された事実か」と「何がまだ不明か」を切り分けながら読むことが、この混沌とした局面を理解するための第一歩になる。
本稿は2026年2月28日時点の報道をもとに作成。状況は刻々と変化しており、未確認情報を含む。
※本文中の時刻は主として報道機関の配信時刻であり、事象の発生時刻とは一致しない場合がある。

