侵攻4年、ウクライナ大使が日本語で語ったこと

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流暢な日本語で、重い言葉を届けた

「公正かつ永続的な平和を望んでいます」

ウクライナのルトビノフ駐日大使は、2月23日、NHKの取材にそう語った。通算18年にわたる日本勤務経験を持つこの外交官は、日本語で答えた。言葉は穏やかだったが、その内容は重かった。

2022年2月24日にロシアがウクライナへの全面侵攻を始めてから、24日でちょうど4年が経つ。戦争は「終わる」でも「終わらない」でもなく、「終わらせ方をめぐる争い」という段階に入っている。大使の言葉は、その前日に届いたものだ。


「公正な平和」と「単なる停戦」は違う

ここで、一つ押さえておきたい言葉がある。「公正かつ永続的な平和(just and lasting peace)」という表現だ。

一見当たり前に聞こえるが、これは外交上、意味のある言葉の選び方だ。「停戦」とは単に「撃ち合いをやめること」だが、「公正な平和」はそれ以上を意味する。具体的には、ロシアが武力で奪った領土をそのまま固定しないこと、そして再び侵攻が起きないための安全の枠組みが伴うこと——この二つが含まれると一般に説明される。

裏返せば、「停戦さえすれば平和だ」という見方を、ウクライナ側は退けている、ということだ。

大使はさらに踏み込んで言った。「領土の割譲は受け入れられない」と。


なぜ「領土」が最大の争点になるのか

領土の問題は、単純に「どの土地を誰が持つか」という話ではない。

ウクライナ側の論理はこうだ——「武力で奪った土地を認めれば、同じやり方が報われることになる。それは世界中で同種の行為を誘発しかねない」。国際法の原則「武力による現状変更を認めない」は、まさにこの考え方の上に成り立っている。

一方ロシアは、占領した地域をめぐる既成事実化を交渉の出発点に据えようとしているとされる。双方の立場がここで真っ向からぶつかる。

ロイターなどは2月17〜18日にジュネーブで行われた米国仲介の協議を報じているが、この領土問題と安全保障の枠組みをめぐる溝が埋まらず、「突破口なし」というトーンが目立つ。交渉の場が設けられていても、本質的な対立は続いている。


「制裁を強めろ」という訴えの意味

大使は、戦争長期化を狙っているのはロシアだとし、国際的な圧力を強めるべきだと訴えた。ここで言う「圧力」の主な手段が、経済制裁だ。

制裁とは何か。典型的には、資産の凍結、輸出入の規制、金融取引の制限、エネルギー収入を絞る措置などが挙げられる。狙いは、戦費や兵器調達の余力を削り、強硬な交渉姿勢を維持しにくくすることだ。

しかし制裁には、実効性を左右する難しさがある。参加国が足並みをそろえなければ、抜け道ができてしまう。実際、EUでは侵攻4年の節目に合わせた追加制裁パッケージをめぐり、2月23日ごろ、ハンガリーの反対で合意できないと伝えられた。制裁強化を求める声と、慎重・反対の立場が綱引きをしている現実がある。


日本に期待されていること

大使は、日本への期待にも言及した。復興支援での重要な役割だ。震災復興などで培ってきた日本の知見を、ウクライナの戦後復興に取り入れたいと語ったという。

日本は憲法上の制約から軍事的な支援に限界がある一方、別の形での関与を積み重ねてきた。政府は人道・財政・復旧復興を含む支援として総額120億ドル以上をコミットしてきたとされる(2025年2月の岩屋外相発言による)。また、G7の枠組みでは、凍結されたロシアの資産から生まれる収益を原資に使う形でのウクライナへの融資(約33億ドル、ロイター報道)にも関与した。東京では政府主催の日本・ウクライナ復興関連会議も開かれ、官民双方での関与が前面に出されてきた。

軍事ではなく、資金・制度・技術——この三つが、日本の関与の軸になっている。


戦争は「続いている」という現実

和平交渉の報道が続く一方で、見失いがちな事実がある。戦争は今も続いているという現実だ。

ロシアによるミサイルやドローンを使ったエネルギーインフラへの攻撃が継続しているとの報道がある。ウクライナ側はこれを「テロ行為だ」として追加制裁を求める声を上げている。交渉の動きと並行して、攻撃の現実が続く——この二重性が、現在の局面の特徴だ。


4年目が問うているもの

「公正な平和」「領土の不割譲」「制裁強化」「日本への復興期待」——ルトビノフ大使が日本語で語ったこれらの言葉は、ウクライナ外交の現在地を映している。

侵攻から4年が経ち、戦争の「終わり方」をめぐる議論が国際社会の焦点になっている。どこで線を引くのか、その線を誰が認めるのか、そして安全をどう担保するのか——答えはまだ見えない。

大使は言った。「公正かつ永続的な平和を望んでいます」と。

その言葉の重さは、4年という時間の長さと、まだ終わっていないという事実の前に、静かに置かれている。


(本記事はNHKの報道および公開情報をもとに作成しています。大使発言はNHKの2月23日取材によるものです)

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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

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