導入
米国の半導体株を代表する**SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)**が8月中旬にかけて急落しました。背景には、アプライド・マテリアルズの弱い決算ガイダンスと、トランプ大統領による半導体関税発言が重なったことがあります。本記事では、SOX指数の基礎から直近の下落要因までを整理し、業界の行方を考えます。
SOX指数とは何か
SOX指数(PHLX Semiconductor Sector Index)は、米フィラデルフィア証券取引所が算出する半導体関連株指数です。NVIDIA、Intel、AMD、TSMC、ASML、Applied Materialsといった主要企業で構成され、世界のテクノロジー市場の先行指標として広く注目されています。
半導体はPC・スマホ・自動車からAIデータセンターまで幅広い用途を持つため、この指数は「ハイテク業界の体温計」と呼ばれています。
SOX指数の現状
2025年8月中旬、SOX指数は2日連続で急落しました。その要因は大きく二つに分けられます。
- 政策リスク:トランプ大統領が半導体に最大300%の関税を検討すると発言し、サプライチェーン全体の不安が拡大。
- 主要銘柄の決算ショック:半導体製造装置大手アプライド・マテリアルズが予想を下回るガイダンスを発表し、投資家心理を冷やしました。
グラフ解説ポイント①

📊 SOX指数の推移(2025年7月以降の日足チャート)作成:FPTRENDY.com
このグラフでは、8月14日(アプライド決算発表)と8月15日(トランプ関税発言)の急落が縦線で示されています。SOX指数が政策と決算のダブルショックで急落した様子が明確です。
アプライド・マテリアルズの決算が示す課題
SOX指数の下落を象徴する事例が、アプライド・マテリアルズ(AMAT)の決算です。世界最大級の半導体製造装置メーカーである同社は、SOX指数を構成する主要銘柄のひとつです。
- 2025年Q3決算(8月14日発表)
- 売上高:73億ドル(予想72億ドルを上回る、前年比+8%)
- EPS:2.48ドル(予想2.36ドルを上回る)
- ただしQ4ガイダンスは売上62〜72億ドル(市場予想73億ドルを下回る)、EPSも弱めの見通し
発表直後、株価は11〜14%下落し、SOX指数全体を押し下げる大きな要因となりました。CEOは「マクロ経済と政策環境の不透明さが、中国事業の視界を悪化させている」とコメントし、政策リスクが現実的な経営課題になっていることを認めました。
グラフ解説ポイント②

📊 Applied Materials株価の推移(2025年7月以降の日足チャート)作成:FPTRENDY.com
このグラフでは、8月14日の決算発表で大きく下落し、翌15日の政策リスクでさらに下げ幅を拡大した様子が確認できます。
まとめ
SOX指数は「半導体業界の体温計」として、政策と需要環境に敏感に反応します。今回のアプライド決算と関税リスクを受けた下落は、半導体セクターの成長がいかに外部要因に左右されやすいかを浮き彫りにしました。今後も、政策動向・主要企業の決算・中国需要の変化がSOX指数を左右する最大のポイントとなるでしょう。
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【外部関連リンク】
- 日本銀行(BOJ)公式サイト ─ 国内金利や政策決定の確認に。
- 米連邦準備制度理事会(FRB)公式サイト ─ FOMCや声明内容はこちら。
- Bloomberg(ブルームバーグ日本版) ─ 世界の金融・経済ニュースを網羅。
- Reuters(ロイター日本語版) ─ 最新のマーケット速報と経済記事。
- TradingView ─ 株価・為替・指数チャートの可視化に便利。
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