Xがスーパーアプリ化を加速、投資&送金機能を2025年内に実装へ

【概要・背景】
X(旧Twitter)では、イーロン・マスク氏が掲げる「スーパーアプリ」構想の一環として、SNSプラットフォームに金融機能を統合する取り組みが加速しています。2025年6月、リンダ・ヤッカリーノCEOは「まもなく投資や送金が可能になる」とフィナンシャル・タイムズとのインタビューで明かし、クレジットカードやデビットカード機能の追加も検討中であることを示唆しましたtxbiz.tv-tokyo.co.jp。一方、Xは2025年3月に自社AI企業のxAIによる買収を完了しており、広告収入依存から脱却するための収益多角化策として、金融サービスが重要な柱となる見込みですft.com

投資・送金機能の概要

リンダ・ヤッカリーノCEOによると、ユーザーはX上で株式や暗号資産などの「投資」(trading)を行えるようになるほか、個人間送金(peer-to-peer payments)もサポートされる予定ですft.com。これにより、従来のメッセージングやコンテンツ配信に加え、資産運用や決済という新たな利用シーンが生まれ、WeChatのような「何でもできるアプリ」への転換を目指します。

クレジット・デビットカードと「X Money」の導入計画

FTによれば、XはVisaと提携し、プラットフォーム内決済用の「X Money」というデジタルウォレットを米国で最初にローンチする計画ですft.com。同時に、クレジットカード/デビットカード機能の追加検討も進めており、2025年内の実装を視野に入れています。これにより、オンライン・オフライン双方での支払いがX上で完結できるようになります。

規制・法的課題とリスク

金融サービスを提供する上で、米国の各州や連邦レベルでの金融免許取得や消費者保護規制への対応が大きなハードルとなります。FTは「これらの新機能は膨大な規制チェックを要し、導入時期が遅れる可能性がある」と指摘していますft.com。特にマネーロンダリング防止(AML)や顧客確認(KYC)の体制構築は急務であり、違反時の罰則リスクも伴います。

収益多角化と広告依存からの脱却

マスク氏による買収後、Xは広告主離れに直面し、一時は主要ブランドが次々と撤退しました。ヤッカリーノCEOは「96%の広告主が戻った」と強調する一方、収益回復には依然として不透明感がありますft.com。金融サービスは広告に依存しない収益源として、手数料やカード取扱い手数料、為替・送金手数料からの収益獲得を狙うものです。

今後の展望と市場の反応

市場からは、Xのスーパーアプリ化によるユーザーエンゲージメント向上を期待する声がある一方、「金融サービス企業との競合」「プライバシー・セキュリティ懸念」「規制遵守負担」への懸念も根強い状況です。今後、正式発表のタイミングや詳細機能、パートナー企業の発表に注目が集まります。金融業界への本格参入が果たしてユーザー獲得や収益増に寄与するのか、引き続き動向を追う必要があります。

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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

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