関税問題でG7サミットに向けた日米交渉の進展と今後の動き
政府はアメリカの関税措置を巡る交渉で、6月中旬にカナダで開催される主要7か国首脳会議(G7サミット)にあわせて日米首脳間で合意を目指す方針を固めています。赤澤亮正経済財政・再生相は今週後半に再び訪米し、5回目となる閣僚協議に臨む予定で、政府間で詳細な調整が進められています。
5月30日の4回目の閣僚協議後、赤澤氏は合意に向けた議論の進展を報告し、石破総理大臣も「最優先かつ全力で交渉を進めるように」と指示しました。交渉では自動車産業を中心に日本経済への損失が大きいことを踏まえ、「ゆっくり急ぐ」姿勢で国益を守りながら早期合意を目指す意向が示されています。
また、石破首相は6月にG7サミットと北大西洋条約機構(NATO)首脳会議でトランプ米大統領と直接会談の機会を確保し、関税問題をトップレベルで解決する構えです。NATO会議への日本の参加はトランプ氏へのアピール材料にもなり、首脳会談の場での交渉加速が期待されています。
交渉の焦点は、自動車・部品、鉄鋼・アルミニウムにかかる25%の追加関税や、相互関税の基本税率や上乗せ税率の見直しです。米国は日本に対し10%の基本税率と14%の上乗せ税率を設定し、トランプ政権は市場混乱回避のため上乗せ部分の発動を7月9日まで猶予しています。英国との合意例を参考に、自動車関税を10%に抑える案なども浮上しており、猶予延長の交渉も選択肢に含まれています。
ただし、政府関係者によると日本側の要求に対する米国側の確約は得られておらず、引き続き双方の主張の擦り合わせが課題となっています。赤澤経財相は6月5日から8日にかけてワシントンを訪問し、G7前の重要な閣僚協議に臨みます。
加えて、6月下旬の首脳会談時期は国内政治の国会終盤と重なるため、野党の不信任決議案提出など政治的影響も交渉の背景にあります。与党が衆議院で過半数を持たない現状であり、交渉と政局の両立が求められる難しい局面にあります。
以上のように、日米間の関税交渉は最終局面に入り、G7やNATOの首脳会議を活用したトップ交渉での決着を目指す中、日本政府は経済的損失を抑えつつ国益にかなう合意形成を急いでいます。
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