2025年5月29日の米国株式市場は、巨大テック株の牽引で反発したものの、関税政策の不透明感が相場の上値を抑える展開となりました。
【ダウ平均株価】

29日のダウ工業株30種平均は前日比117ドル高(約0.27%増)の4万2215ドル台で取引を終えました。エヌビディアの決算好調が相場を支え、ボーイングやアムジェン、シェブロンなども買われました。一方で、セールスフォースやアップル、ゴールドマン・サックスは売られ、相場全体の重荷となりました。
【S&P500】

S&P500全体では、巨大テック7社(マグニフィセント7、M7)の寄与が大きく、4月2日以降のM7の株価上昇率は10%とS&P500全体の4%を大きく上回っています。ただし、M7を除く銘柄はほぼ横ばいで、売買の広がりに欠ける状況が続いています。
【ナスダック総合指数】

ハイテク株中心のナスダック総合指数は反発し、前日比74.9ポイント(約0.39%増)の1万9175.872(速報値)で引けました。エヌビディアをはじめブロードコムなど半導体株の一角が上昇しました。
【米国債10年物利回り】

米国債市場では長期金利が低下し(債券価格は上昇)、株式の割高感が幾分和らぐ動きとなりました。


また、米国際貿易裁判所がトランプ政権の関税の一部差し止めを命じたものの、政権は即日控訴し、連邦巡回控訴裁判所は差し止め命令の一時停止を判断。これにより関税リスクは一時的に低下したと見られる一方、通商法301条など別の手段による関税発動の可能性も指摘され、不透明感が相場の重荷となりました。
特にエヌビディアは、2025年2〜4月期決算で売上高・EPSが市場予想を上回り、AI需要の強さを示しました。対中輸出規制の影響で今後の収益見通しは市場予想に届かなかったものの、強い基礎業績が評価され、同社株は前日比3%上昇しました。テスラなど中国比率の高い銘柄も上昇基調を強めています。
一方、米中関税や景気の影響を受けやすい小売りや金融セクター、中小型株は買いが広がらず、相場の方向感は巨大テック株に依存する形が続いています。
以上のように、2025年5月29日の米国株市場は巨大テック株の力強い回復を背景に上昇したものの、関税問題の先行き不透明さが上値の重さにつながる複雑な状況となっています。
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【外部関連リンク】
- 日本銀行(BOJ)公式サイト ─ 国内金利や政策決定の確認に。
- 米連邦準備制度理事会(FRB)公式サイト ─ FOMCや声明内容はこちら。
- Bloomberg(ブルームバーグ日本版) ─ 世界の金融・経済ニュースを網羅。
- Reuters(ロイター日本語版) ─ 最新のマーケット速報と経済記事。
- TradingView ─ 株価・為替・指数チャートの可視化に便利。