石破首相とトランプ米大統領、電話会談で関税問題協議
2025年5月29日夜、石破茂首相はトランプ米大統領と約25分間の電話会談を行い、米国の追加関税措置を巡る問題について意見交換した。両首脳は、担当閣僚間で議論を深めることを確認し、30日にワシントンで開かれる4回目の日米閣僚級協議に向けて認識をすり合わせた。
首相は会談後、「日米協力を一層前進させる意見交換ができ、互いに打ち解けて考えの理解が深まった」と述べた。また、日本側は投資の増加が米国の雇用創出につながるとの立場を改めて示し、「ウィンウィンの関係を作っていくという日本の主張に変更はない」と強調した。
トランプ氏との電話会談は5月に入ってから2回目で、23日にも45分間話し合いが行われている。両首脳は6月15日からカナダで開催される主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせて対面会談を予定しており、首脳間で一定の合意形成を目指す調整が進んでいる。
赤澤経済再生担当大臣、30日に米国で閣僚交渉へ
赤澤経済再生担当大臣は30日午前にワシントンに到着し、同日夜にもアメリカ側のベッセント財務長官らと閣僚級交渉に臨む見通しだ。赤澤氏は関税措置の見直しを求めるとともに、合意に向けて歩み寄り可能な接点を探り、トランプ大統領に報告があがる環境づくりを進めたい考えである。
今回の交渉には、トランプ大統領から信頼が厚いとされるベッセント財務長官が参加し、関税問題を巡る議論を詰めていく。日本側は対米投資の増額や雇用創出、経済安全保障の協力強化などを交渉カードとして準備し、自動車や鉄鋼・アルミの追加関税、相互関税のすべてについて見直しを求めている。
米ホワイトハウス、国際貿易裁判所の差し止め命令に反発
米ホワイトハウスのレビット報道官は29日の会見で、国際貿易裁判所がトランプ政権の相互関税や一律関税の措置に対し差し止め命令を出したことに関し、影響はないとし、引き続き日本などとの関税協議を継続する方針を強調した。
レビット報道官は、同裁判所の決定を「司法の権限の乱用」と批判し、「大統領が判事に外交や貿易交渉を妨げられては米国は機能しない」と述べた。さらに、「最終的に最高裁判所が憲法と国益のために終止符を打つべきだ」との考えを示した。
また、トランプ大統領は石破首相との電話会談を「非常に良い議論」と評価し、ラトニック商務長官やベッセント財務長官、USTRのグリア代表が世界各国と連絡を取り、交渉の席に引き続き着く姿勢を示していると報告した。
まとめ
石破首相とトランプ大統領の電話会談を受け、30日に赤澤経済再生担当大臣らが米国で行う閣僚級交渉では、関税措置の見直しと日米双方に利益をもたらす投資促進の協議が進む見込みだ。一方、米国側では国際貿易裁判所の差し止め命令に反発しつつも、日本などとの交渉継続を明言している。6月のG7サミットに向けて、両国間での合意形成が期待されている。
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