インドからのiPhone出荷が中国を初めて上回る
2025年3月と4月、米アップルがアメリカ向けに出荷するiPhoneの生産拠点が中国からインドへ大きく移りました。シンガポールの調査会社カナリスの試算によると、2025年4月のインドから米国へのiPhone出荷台数は前年同月比76%増の約300万台に達しました。一方、中国からの出荷は76%減の約90万台まで減少しています。3月に関しては、インドからの出荷台数が約440万台で中国の約430万台を上回り、初めてインドが中国を抜いた形です。
追加関税を避けるための生産シフト
この生産拠点の大幅な変化は、トランプ米政権による中国製品への追加関税が背景にあります。中国から米国へ輸出されるiPhoneには現在30%の関税が課されており、Appleはこれを回避するためインドでの生産を急速に拡大しています。インドからの輸入には暫定的に10%の関税が適用されていますが、トランプ大統領は6月末までにインドからのiPhone輸入にも25%の関税を課す方針を示しています。
Appleの戦略と直面する課題
アップルのティム・クックCEOは2025年4~6月期に米国で販売されるiPhoneの大半をインド生産に切り替える考えを示しました。これまでは年間約6500万〜7000万台のiPhoneのほとんどを中国で組み立てていましたが、現在はインドからの出荷が急増しています。
しかし、Appleが直面している課題も明確です。
- 米国内でのiPhone生産に切り替える場合、コストが2~3倍に膨らむとされています。
- またインドでの組み立てでも、使用される部品の多くは中国製であり、サプライチェーン全体の中国依存を解消するのは簡単ではありません。
今後の動向に注目
トランプ政権がインドからのiPhone輸入に対して25%の関税を課す方針は、Appleのコスト負担をさらに増やす可能性があります。現時点ではAppleはインドでの生産を継続する見込みですが、米国内生産への大規模な移管は慎重に進めるとみられています。部品調達の多くが中国に依存しているため、完全な脱中国には時間と複雑な調整が必要とされます。
以上が、2025年5月時点のAppleの米国向けiPhone生産に関する最新状況です。今後の関税政策の動向とAppleの対応に注目が集まっています。
【FPTRENDY内部リンク】
【外部関連リンク】
- 日本銀行(BOJ)公式サイト ─ 国内金利や政策決定の確認に。
- 米連邦準備制度理事会(FRB)公式サイト ─ FOMCや声明内容はこちら。
- Bloomberg(ブルームバーグ日本版) ─ 世界の金融・経済ニュースを網羅。
- Reuters(ロイター日本語版) ─ 最新のマーケット速報と経済記事。
- TradingView ─ 株価・為替・指数チャートの可視化に便利。