2025年5月22日|ハーバード大学SEVP認定取り消し(留学不可)の全経緯と海外論調

はじめに

2025年5月22日、アメリカ国土安全保障省(DHS)は、ハーバード大学の「学生・交流訪問者プログラム(SEVP)」認定を取り消すと発表しました。これにより、新規の留学生受け入れが停止され、在学中の留学生も他大学へ転校しなければ滞在資格を失う事態となります。本稿では、声明の背景と内容を整理し、海外主要メディアの報道に見られる賛否両論を紹介。日本人留学生や教育関係者に向けて、今後の注目ポイントもまとめました。


背景:トランプ政権とハーバード大の対立

  • 反ユダヤ主義問題
    2024年以降、ガザ地区をめぐる抗議デモでハーバード大が反ユダヤ主義的行為を十分に抑制しなかったとして、政権側が大学側の対応を批判。
  • 助成金・税制優遇の凍結・取消し
    2025年3月には約90億ドルの連邦助成金見直し、4月には一部凍結、5月には非課税資格の取消し表明と、段階的に圧力を強化。
  • SEVP(学生・交流訪問者プログラム)認定
    米国で留学生を受け入れる大学は、SEVP認定を取得・維持する必要があり、取消しは事実上の留学停止措置を意味します。

声明の内容と影響

  1. SEVP認定の取消し
    • DHS長官ノーム氏が「キャンパス内での暴力助長」「国家安全保障への脅威」を理由に認定取消しを指示。
  2. 新規留学生受け入れ停止
    • 取消し以降、ハーバード大への新規I-20(ビザ発給用書類)発行が不可に。これから留学を希望する学生は進学できなくなる。
  3. 在学中留学生の転校要件
    • 既存の留学生も、指定期間内に他大学へ転出申請を行わなければSEVISから抹消され、ビザステータスを失うリスク。
  4. 大学運営・財務への打撃
    • 留学生約7,000人からの授業料収入が大学財政の大きな柱だけに、重大な収入減少が見込まれる。

海外主要メディアの報道比較:賛否両論

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媒体論調主な論点
The New York Times批判的大学の「政治的制裁」を懸念。学問の自由と学生権利の侵害と報道。
The Guardian強く批判違法性を指摘し、「学術の自律性」を侵す措置と断じる。
Reuters批判寄り授業料収入減少の影響、大量転校リスクを警告。
Politico中立手続きの詳細と法廷闘争の展望を解説。
Fox News支持的国家安全保障上の必要性を強調し、大学側の対応を「不服従」と批判。
  • 批判的報道(NYT・Guardian・Reuters)
    • 「教育が政治の道具に」「留学生が不当に巻き込まれる」との声。
  • 中立的報道(Politico)
    • 法的手続きや今後の訴訟プロセスに焦点を当て、情勢を客観的に伝える。
  • 支持的報道(Fox News)
    • 「学内の安全を守るため」「大学の説明責任を果たさせるべき」と擁護的。

日本への波及・留学生への影響

  • 日本人留学生の進路選択
    • ハーバード大を志望していた学生は進学計画の見直し必至。他キャンパスや英国・豪州など第三国への志望先変更が増加。
  • 他大学・転校潮の可能性
    • 米国内では一斉転校申請の混乱が予想され、日本人学生も手続き負担が増大。ビザ維持の可否も不透明。
  • 日本の高等教育政策への示唆
    • 国際競争力強化の観点から、国内大学の受け皿整備やビザ支援策の検討加速が求められる。

今後の注目ポイント

  1. 法廷闘争の行方
    • ハーバード大は連邦地方裁判所で取り消し取消しを訴訟中。判決と上級審への展開を注視。
  2. 他大学への波及効果
    • MITなど他の名門校も同様の対象となる可能性があるか、政権の今後の動きを追う必要あり。
  3. 米中関係・学術協力への影響
    • 中国共産党との協調批判がSEVP取消しの大義名分に。両国間の共同研究・学生交流の将来が不透明に。

まとめ

今回の措置は、大学運営の自律性と政府権限の関係性や、学問の自由のあり方に対する問いを投げかける事案である。米国における高等教育制度や留学生受け入れの仕組みについて、関係各所で議論が続く見込みである。

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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー