【AI音声解説付き】13日の日経平均は大幅高、4日続伸で3万8000円台回復 — 米株高と米中関税引き下げ合意を好感

AI音声解説

5月13日の東京株式市場で、日経平均株価は大幅に続伸しました。終値は前日比539円00銭高の3万8183円26銭となり、これはプラス1.43%の上昇です。これにより日経平均は4日続伸となり、約1カ月半ぶりに心理的節目の3万8000円台を回復しました。前日の米国株市場の大幅な上昇に加え、米中間の関税協議が進展したことによるリスク選好の動きが続き、これが株価上昇の主な要因となりました。朝方には円安も追い風となりました。

当日の東京市場は、朝方から主力株中心に投資資金が流入し、日経平均が続急伸する展開となりました。寄り付きは3万8149円53銭で、一時800円を超える上げ幅をみせ、高値は3万8494円06銭に達しました。しかし、朝高後は短期筋の利益確定売りなどから上値が重くなり、上げ幅を縮小しました。3万8500円近辺で弾き返された後、3万8000円台前半でもみ合う展開に移行しました。大引けは3万8183円26銭で、これは後場の安値と同じ水準です。

東証プライム市場の売買高は概算で24億9172万株、売買代金は6兆0169億円と、6兆円台の高水準となりました。ただし、主力株の一角が買われたものの、利食われる銘柄も相次ぎ、プライム市場では値下がり銘柄数(849)が値上がり銘柄数(734)を上回る結果となりました。一方、東証株価指数(TOPIX)は前日比30.06ポイント高の2772.14となり、13連騰を達成しました。TOPIXの始値は2774円53銭、高値は2794円96銭、安値は2772円13銭でした。東証グロース250指数も上昇しています。

株価上昇の背景には、前日の米国株市場の動きが大きく影響しています。ニューヨーク市場では、NYダウが前週末比1160ドル72セント高と大幅に反発し4万2410ドル10セントで取引を終え、ナスダック総合株価指数も前週末比4.35%高の1万8708.34ポイントと4日続伸しました。この米株高はリスク選好の地合いを継続させました。

また、米中貿易摩擦の緩和に向けた動きが好感されました。米中両政府は、互いに課した追加関税を115%引き下げることで合意し、これにより米国の対中関税は30%に(145%から)、中国の対米関税は10%に(125%から)引き下げられました。一部の関税については90日間の一時停止でも合意に至りました。トランプ大統領は、この90日間の停止期間が終了しても145%には戻らないとの認識を示しています。野村證券の池田雄之輔氏はこの合意を「サプライズ」と捉え、トランプ政権が強硬路線から現実路線にかじを切ったこと、「トランププット」が健在であることを示唆するものと解説しています。

為替市場でも、朝方ドル・円相場が1ドル=148円台まで円安が進み、これも日本株の追い風となりました。米中貿易摩擦の緩和が米国経済にプラスと見られたことでドル買いが進み、一時148円65銭をつけるなど円安・ドル高水準となりました。米国10年債利回りも前週末比0.09%高い4.47%と約1カ月ぶりの高水準で取引を終え、これも金利面でのドル高要因となりました。ゴールドマン・サックスは、今回の米中合意を受けてFRBの利下げ開始時期の予想を従来の7月から12月に先送りし、米国経済のリセッション確率を45%から35%に引き下げたと報じられています。

個別銘柄では、売買代金トップの川崎重工業<7012>が高く、ディスコ<6146>や東京エレクトロン<8035>も堅調でした。三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>や三井住友フィナンシャルグループ<8316>などメガバンクも上昇し、任天堂<7974>やリクルートホールディングス<6098>、商船三井<9104>も買われました。ミマキエンジニアリング<6638>は値上がり率トップとなり急騰、三井E&S<7003>も急騰しました。楽天銀行<5838>は決算好感でストップ高、ネツレン<5976>や日新<9066>もストップ高となりました。古河電気工業<5801>も今期最終増益計画が好感され一時値幅制限いっぱいまで買われる場面がありました。円安進行を追い風に、トヨタ、日産自、三菱自など自動車株も軒並み大幅高となっています。

一方、フジクラ<5803>は利食われ値を下げ、今期の減収減益見通しが嫌気され後場大きく売られました。三菱重工業<7011>も冴えない動きで、上昇して始まったもののマイナス圏に沈みました。アドバンテスト<6857>も利益確定売りが出て下落、こちらも上昇からマイナス圏に転じています。決算が売り材料となったディー・エヌ・エー<2432>は売りが止まらず大幅安、住友ファーマ<4506>も下げが目立ち、前場大幅高から後場決算を受けて下落しました。AZ-COM丸和ホールディングス<9090>が値下がり率トップに売り込まれました。MIRARTHホールディングス<8897>やシャープ<6753>も急落しており、特にシャープは大幅な最終減益見込みが嫌気されています。今期減益計画の京王電鉄<9008>や不二製油<2607>も大幅安となりました。大成建設と大林組も今期の減収減益計画で大幅安となり、同業の鹿島や清水建設も連れ安となっています。

日経平均へのプラス寄与度上位5銘柄は、東エレク<8035>、ファストリ<9983>、リクルート<6098>、信越化<4063>、ファナック<6954>で、この5銘柄で指数を合計約312円押し上げました。特に東エレクとファーストリテイリングの2銘柄で約177円分を押し上げています。一方、マイナス寄与度上位5銘柄は、アドテスト<6857>、KDDI<9433>、セコム<9735>、ニトリHD<9843>、フジクラ<5803>で、合計約107円の押し下げ効果となりました。

東証33業種のうち、上昇は19業種でした。上昇率の上位5業種は海運業、医薬品、倉庫・運輸、その他製品、銀行業です。海運業や銀行業は特に強い動きが見られました。一方、下落率の上位5業種は不動産業、金属製品、陸運業、食料品、情報・通信業となりました。建設業や不動産業も下落しています。

今後の市場見通しについては、米中貿易摩擦が緩和したことで、「異常な投資環境は通常モードに回帰した」との見方があります。これにより、日本株は今後レンジ相場に移行する可能性が考えられています。レンジ下限については、深押しするケースを想定し、25日移動平均線がメインのサポートラインとして意識されるとの解説があります。投資環境は大幅に改善しており、これはすでに株価に織り込み済みである可能性や、現在の買いが先物やコールオプションの売り建て、個別銘柄の空売りをしていた投資家のショートカバー(損失覚悟の買い戻し)が中心である可能性も指摘されています。このような状況下では、個人投資家は足元で発表された決算をしっかり吟味した上で、余裕を持って押し目買いのチャンスを待つことが推奨されています。野村證券の池田氏は、今回の米中サプライズ合意により、日経平均の上振れシナリオ(40500円)に移行する道筋が見えてきたとの見方を示しています。ただし、不安定な関税政策が続く可能性や、半導体などの分野別関税の動向、グローバル企業の設備投資意欲の回復が市場センチメント回復持続性のカギを握るとも指摘されています。

為替相場については、ドル円は一時的に150円を試す可能性がありつつも、中長期的には日米金利差の縮小や原油安(1バレルあたり年初の75~80ドルから60~65ドルへ切り下がり)を背景に、緩やかな円高・ドル安トレンドが続き、年末にかけて140円前後へ向かうと見込まれています。一方、寄り付き前の見方として、テクニカルアナリストの伊藤智洋氏は、日経平均株価の過去の値動きパターンから本年は弱気パターンの年になる可能性があり、その場合3万8000円以上の水準が現在の上昇の上値の限界だと推測できるとの見解も示していました。


【ご留意事項】

本記事は提供された情報を基に作成されたものであり、特定の銘柄の売買や投資を勧誘するものではありません。投資判断の最終決定は、ご自身の判断と責任において行われますようお願いいたします。本記事に含まれる情報は正確であるように努めておりますが、その内容を保証するものではありません。これらの情報によって生じたいかなる損害についても当社は一切の責任を負いかねます。日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。

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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

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