米欧首脳とトランプ氏、5月12日から30日間の無条件停戦合意−制裁でロシアに最後通告
5月10日午後、英国のスターーマー首相、フランスのマクロン大統領、ドイツのメルツ首相、ポーランドのトゥスク首相が鉄道でキーウ入りし、ウクライナのゼレンスキー大統領と歴史的な会談を実施。30日間の無条件停戦を5月12日から開始することで合意し、勢ぞろいした欧州4ヵ国首脳はその場で即座にトランプ米大統領へ電話をつなぎ、米国の支持も取り付けました。
この提案は、ロシアが戦勝記念日に合わせて宣言した72時間の一方的停戦が事実上破られた直後に打ち出されたもので、これまでロシアの「パフォーマンス停戦」への不信感が強かったウクライナ側が一歩先んじる形です。ゼレンスキー大統領は開口一番、「我々は即刻、全面かつ無条件の停戦を開始する準備がある」と力強く表明しました。
合意文書には「陸・海・空を問わずあらゆる戦闘行動を停止する」と明記され、停戦監視は米欧が共同で行う体制を構築。衛星や無人機を活用したリアルタイム監視の導入も盛り込まれました。さらに、「違反があればエネルギーおよび銀行部門を中心に大規模制裁を即時発動する」との条項が最後通告の形で盛り込まれ、迅速な制裁履行を念頭に置いています。
マクロン大統領は「停戦が実効化すれば欧州諸国も監視に貢献し、米国が主導して平和を守る」と述べ、フォン・デア・ライエン欧州委員長も制裁強化に向けた準備を強調。一方、スターーマー首相は対プーチン向けに「もう‘ifs’も‘buts’も通用しない。これが本気の和平へのチャンスだ」と言い放ちました。
これに対し、クレムリンのペスコフ報道官は「武器供給が続く限り無条件停戦は受け入れられない」と反発し、ロシア側は引き続き西側の追加要件に懸念を示しています。過去の短期停戦が破られた経緯もあって、今回の合意が実効性を担保できるかには疑問符が付きまといます。
今後30日間は停戦の履行と平和交渉の開始に充てられ、米欧はウクライナ支援を継続すると約束。停戦期間中に交渉の枠組みを固められるか、その成否が今後の情勢を左右する最大の焦点となります。今回の合意が単なる演出に終わるのか、それとも戦線の沈静化と持続的和平の礎となるのか、国際社会の注目が一層高まっています。