はじめに
2025年5月7日に終了した米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利が3会合連続で据え置かれた。声明文では「米経済は堅調」との認識を維持しつつも、トランプ政権の高関税政策などを背景に「景気見通しの不確実性が高まった」との文言が追加された。会見でパウエル議長は「今は待って見極める局面」と繰り返し述べ、慎重な政策運営姿勢を示した。
指標結果の概要と前回値との比較
アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が2025年5月に開催したFOMCでは、政策金利(FF金利誘導目標)は5.25~5.50%に据え置かれた(市場予想:据え置き)。
前回(3月会合)でも同水準での据え置きだった。
物価と雇用の双方にリスクが高まる中、FRBは政策判断を急がず、「様子見(wait and see)」の姿勢をより明確にした。
主要データと推移チャート(簡易表)
項目 | 数値/内容 |
---|---|
政策金利 | 5.25~5.50%(据え置き) |
据え置き回数 | 3会合連続 |
声明での表現 | 「景気見通しの不確実性が高まった」追加 |
パウエル発言 | 「待つのが適切」「予防的利下げではない」 |


指標解説
FOMC(連邦公開市場委員会)とは?
FRBが6〜8週ごとに開催し、米国の政策金利や資産買い入れ方針を決定する会合。物価安定と雇用最大化という2つの使命を担い、声明文や議長会見は世界の金融市場に大きな影響を及ぼす。
注目ポイント
- 今回は3会合連続の据え置きだが、声明に「インフレと失業率双方の上昇リスク」を明記
- 関税政策を含む不確実性により、今後の方針は経済指標次第との姿勢
- パウエル議長は「待つことのコストは小さい」と慎重姿勢を強調
市場の反応と今後の見通し
FOMCの据え置き決定と声明は市場の想定内で、サプライズは限定的だった。
7日の米10年債利回りは4.27%に低下し、債券市場は買い優勢。一方で2年債利回りは横ばいにとどまり、金融政策の行方に対する様子見ムードが根強い。
株式市場では半導体関連株が買われ、ダウ平均は284ドル高。為替市場では円安が進行し、1ドル=143円台後半をつけた。
市場では「7月利下げ」予想もあるが、年内利下げ見送りとの見方も出ており、今後のインフレ指標や雇用統計が焦点となる。