この記事は2025年5月8日(木曜日)の経済に関するまとめ記事です。
関税ショックが日本企業に波及──任天堂・三菱・IHIの利益圧迫、円安も加速
2025年5月8日、日本の主要企業が相次いで発表した決算・見通しの中で、「米国の関税政策」が大きなリスク要因として浮上しました。関税によるコスト上昇と消費マインドへの影響が広がる中、各社の対応姿勢と市場の反応に注目が集まっています。
🎮 任天堂:新型スイッチ好調も、関税で利益数百億円圧迫
任天堂は、2025年度の業績見通しで数百億円規模の利益圧迫が発生する見通しを明らかにしました。主因は、アメリカのトランプ政権による関税政策。ゲーム機や関連製品に追加関税が課される見込みです。
それでも、6月発売予定の新型「ニンテンドースイッチ2」の予約は好調で、販売計画は1500万台。売上・純利益ともに前年度比で増収増益を見込んでいます。
「家庭がゲームに使う予算が減るかもしれないが、新型機の魅力を伝えて販売に結びつけたい」(古川俊太郎社長)
🚗 三菱自動車:営業利益28%減見込み、日産と連携模索
三菱自動車は2025年度の営業利益が28%減の1000億円になるとの見通しを発表。関税による直接コストに加え、需要の鈍化が収益を圧迫する形です。関税による減益は400億円規模と推計されています。
アメリカに工場を持たない三菱は、日産の現地工場でSUVを生産するなど協業によるリスク分散も視野に入れていると明らかにしました。
⚙ IHI:米向けターボ部品に関税、200億円の利益下押し
重工メーカーのIHIも、2025年度の営業利益に関して200億円のマイナス要因が関税措置によるものだと説明しました。
日本やタイからアメリカへ輸出する**自動車部品「ターボチャージャー」**が主な対象で、プロジェクト参画の際に負担が求められるケースもあるとしています。
それでも、防衛やエンジン事業が堅調なため、全体としては過去最高益を維持する見込みです。
🌐 NTT:NTTデータを完全子会社化、北米展開強化へ
NTTは、海外IT事業を担うNTTデータを完全子会社化すると発表。株式公開買い付け(TOB)を通じて残り43%を取得し、投資総額は2兆3000億円超にのぼります。
生成AIやデータセンター分野での成長戦略を加速させる目的で、今後は北米事業の競争力強化が焦点となります。
💱 為替:円安進行、FRB利下げ見送りでドル高加速
同日、為替市場では円が1円以上値下がりし、1ドル=144円台に突入しました。FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長が利下げに慎重な姿勢を維持したことを受け、日米金利差の継続観測がドル買い・円売りを促しました。
企業にとっては輸出には追い風ですが、輸入コストや資材高が関税と相まってリスクを増幅させています。
📌 結論:企業業績に広がる“関税リスク”、日本経済への波及も
関税・為替といった外部環境の変化が、日本の製造業や輸出産業を直撃しています。任天堂・三菱・IHIといった異なる業種に広がる影響は、今後の政策動向次第でさらに強まる可能性があります。