VIは落ち着いた?それとも嵐の前?──“未来の恐怖”が示すチャートの真意 🔍

2025年4月上旬、日経平均ボラティリティ・インデックス(VI)が急騰し、異常とも言える水準に達しました。 📈その後少し落ち着きを見せてはいるものの 市場の不安は、今なおくすぶり続けているのかもしれません。

実は、「今」と「未来」に対する投資家の見方にズレが生まれています。 この記事では、モーサテ&TradingViewのチャートを見ながら、ボラティリティの“本音”を読み解いていきます。


💡 そもそも日経平均VIってなに?

日経平均VIは、“将来の値動きの大きさ(ボラティリティ)”を示す指数です。

🧠 別名「恐怖指数」とも呼ばれ、株価が大きく動くときに急上昇します。 つまり…

📊 VIが上がる = 投資家がビビってるサイン


🚨 モーサテチャートが示した“異常事態”


📌 モーサテで紹介された日経平均VIのタームストラクチャーチャート(2025年4月10日放送より)。過去25年の平均を大きく超える“+3σ”水準の急騰が示された。

モーサテで紹介された日経平均VIのタームストラクチャーチャートでは、4月に入ってから**+3σを大きく超える174.14%**という異常な急騰が確認されました。

このチャートでは、25年間の平均VIと、その±1σ~±3σの統計的レンジが帯状で表示されており、今回の赤線(現在のVI水準)は明らかに+3σのラインを大きく上回っています。

これは、過去25年の平均値(およそ20%)と比較しても明らかに異常な水準であり、統計的にも「ほとんど起こらないレベル」です。

この背景には、以下のような市場不安が重なったと考えられます:

  • 📉 日経平均株価の急落(4月7日に前週末比2,644円安、一時30,792.74円まで下落)
  • 🇺🇸 米国市場でのインフレ加速懸念と長期金利の急騰
  • 🏦 日銀の政策修正観測や為替市場の不安(ドル円が一時142円台まで円高進行)
  • 🚧 さらに決定打となったのが、「トランプ関税」の影響による貿易摩擦の激化です。
    • 4月2日、米国が対日24%・対中125%の「相互関税」を発表
    • 日本向け関税は90日間停止も、中国には即時発動され、84%の報復関税で応酬
    • 4月3日には輸入自動車への25%関税も発効し、日本企業への影響が懸念

こうした複合的な要因が、投資家心理を一気にリスクオフに傾け、ボラティリティが跳ね上がったのです。

🔍用語解説:タームストラクチャーチャートとは? → 期間(満期)の違いによる将来のボラティリティ期待値を曲線で表したもの。市場が「いつごろどのくらい不安を感じているか」を視覚化できます。モーサテのチャートでは、これに25年平均や±3σなどの統計レンジも重ねて表示されており、現在の異常値が一目で分かるようになっています。


📉 TradingViewで見るVI先物の今


📌TradingViewでのNikkei 225 VI先物チャート。4月に一時44.20まで急騰し、現在はやや警戒水準で推移。

TradingViewのチャートでは、VI先物は4月に44.20まで急騰した後、現在は28.35まで落ち着いています(4月9日時点)。

ただし、ボリンジャーバンドの中央線(26.03)よりはまだ上に位置しており、依然として**“やや警戒水準”**にあると言えます。

⚠️ “嵐は去った”ように見えても、雲の切れ間かも?

🔍用語解説:ボリンジャーバンドとは? → 株価や指数の“行き過ぎ”を視覚化するテクニカル指標。中心線(移動平均)と上下のバンド(±標準偏差)で構成され、値がバンドを超えると「過熱」とされます。


🔴 青と赤の線が語る市場の“本音”とは?



📌 スポットVI(青)とVI先物(赤)の比較チャート。短期の落ち着きと将来への警戒感の乖離を示す。

注目すべきは、スポットVIとVI先物の大きな乖離です:

  • 🔵 スポットVI:30.34% → 「比較的落ち着いている」
  • 🔴 VI先物:174.14% → 「依然として異常な高さ」

これは「コンタンゴ(Contango)」と呼ばれる状態で…

🔁 将来に向けての“強い警戒心”が価格に織り込まれている状態

このコンタンゴが示唆するのは、市場が「何かが起きるかも」と身構えているということ。

背景には、

  • 米国の利下げ転換へのタイミング
  • 円相場の急変動
  • 地政学的リスク(中東・台湾海峡情勢)
  • そして何より、トランプ政権による関税ショック再燃のリスク──

これらを市場が織り込み始めている可能性があります。

🔍用語解説:スポットVIとは? → 現在時点のVI(ボラティリティ指数)のこと。オプション価格などから計算される“今”の不安水準を反映します。


🧭 投資家が注目すべきポイント

この「スポットと先物のギャップ(乖離)」は、相場の“呼吸”のようなもの。

  • ✅ 今は静かでも「再び荒れるかも」という市場の空気
  • 📊 VI先物は未来への“センサー”の役割
  • 🛡️ リスクヘッジの手段としてVI先物に注目

相場が静かなときこそ、次の一手を考えるタイミング?


🔚 まとめ:ボラティリティは語る

  • ✅ 4月上旬、日経平均VIは過去25年でも異例の急騰(+3σ&174%超)
  • 📉 現在のスポットVIは落ち着いているが、先物との乖離が大きく不安感は継続
  • 📊 モーサテの25年平均と比較しても「異常」と言える水準
  • 🌐 その背後には、金利・為替・関税といった“未来の不確実性”が存在

数字ではなく“気持ち”を読む──それが、VIを見る醍醐味です。

🎯 ボラティリティは「価格」ではなく「気持ち」を映す鏡。

嵐は去ったか? それとも、本番はこれからか? チャートが語る“予感”に、私たちは耳を澄ませる必要があります。


📎 出典:モーサテ(テレビ東京ビジネスオンデマンド) https://txbiz.tv-tokyo.co.jp/nms/vod/post_315947

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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

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