2月経常収支3.9兆円黒字、主役は投資収益 貿易・サービスは弱含み

財務省が2026年4月8日に発表した2月の国際収支速報によると、経常収支は3兆9,327億円の黒字だった。13か月連続の黒字で、表面上は堅調に見える。ただ、内訳をたどると、黒字を押し上げたのはモノやサービスの取引ではなく、海外投資からの収益だった。

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黒字を支えたのは第一次所得収支

経常収支は、海外とのモノやサービスの取引に加え、投資収益の受け取りや資金移転まで含めた対外収支の総合指標だ。大きく分けると「貿易・サービス収支」「第一次所得収支」「第二次所得収支」の3つで構成される。

今回の黒字を牽引したのは、このうち第一次所得収支だった。2月の第一次所得収支は4兆2,403億円の黒字で、経常黒字の総額を上回った。日本企業や投資家が海外で保有する株式や債券、事業資産などから得る配当や利子が、経常黒字の主役になっている構図だ。

少なくとも2026年2月の統計では、「経常黒字=輸出が強い」という見方は当てはまらない。日本の対外収支は、貿易で稼ぐというより、積み上がった海外資産の収益に支えられる色合いを強めている。

貿易・サービス収支は赤字に転じた

一方、モノとサービスの取引を示す貿易・サービス収支は168億円の赤字だった。内訳を見ると、貿易収支は2,676億円の黒字を維持したものの、輸出の伸びは前年同月比2.8%増にとどまり、輸入は同9.7%増とそれを大きく上回った。サービス収支も2,845億円の赤字だった。

財務省の速報本文でも、経常黒字が前年同月比で57億円縮小した主因は、貿易収支の黒字幅縮小だと整理されている。輸入増の中身を見ると、参考欄では半導体等電子部品や非鉄金属、非鉄金属鉱などの増加が目立つ。輸出が弱すぎたというより、輸入の伸びが黒字を削ったと読むほうが実態に近い。

インバウンドは下支えしたが、サービス全体は赤字だった

サービス収支は赤字だったものの、前年同月比ではわずかに改善した。下支え役になったのは旅行収支だ。

日本政府観光局(JNTO)によると、2026年2月の訪日外国人旅行者数は346万6,700人で、2月として過去最高を更新した。財務省の国際収支速報でも、旅行収支は5,606億円の黒字だった。一方、2月の出国日本人数は109万3,300人にとどまった。訪日客の消費が、日本人の海外旅行支出を大きく上回った形だ。

ただし、旅行収支の黒字だけではサービス収支全体の赤字は埋め切れなかった。インバウンドが好調でも、輸送やデジタル関連を含むサービス全体ではなお弱さが残る。

3月以降は統計の見方がより重要になる

次の焦点は3月以降の統計だ。ただし、ここで注意したいのは、国際収支速報と通関ベースの貿易統計は同じ数字ではないという点である。

通関ベースでは対米輸出の動きや自動車輸出の鈍化が注目されているが、それをそのまま国際収支の黒字縮小要因と断定するのは早い。米国の関税措置や資源価格の変動が日本の対外収支にどう波及するかは、今後の通関統計と国際収支統計を分けて追う必要がある。

黒字の額より中身を見る局面に入った

今回の2月統計が示したのは、黒字の大きさそのものより、何で黒字を稼いでいるかの変化だ。経常黒字はなお維持しているが、その主役は貿易ではなく投資収益で、貿易・サービスは弱含みだった。

13か月連続の黒字という見出しだけでは、日本の対外収支の実像は見えにくい。いま見るべきなのは黒字の額ではなく、その中身である。

(本稿は各種公開情報をもとに作成しました。一部数値は記事掲載時点の情報です)

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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

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