コメ5週連続値下がりで3000円台回復——品薄相場から在庫圧縮局面へ転換した背景と先行きのリスク

「コメが安くなってきた」と感じている人もいるかもしれない。スーパーの店頭でも、3000円台の商品が並ぶ機会が増えてきた。

しかし今回の値下がりを「コメが安くなった」と読むのは、少し違う。本当のニュースは、値段がいくらになったかより、なぜ下がっているのかにある。


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5週連続で値下がり、7か月ぶりの3000円台

農林水産省が全国約1000店のスーパーで集計したコメの平均価格(POSデータ)によると、3月9日〜15日の1週間における5キロあたりの税込み平均価格は3980円だった。前の週より33円下がり、5週連続の値下がりとなった。

平均価格が3000円台になるのは、備蓄米が大量に流通した昨年(2025年)8月下旬以来、およそ7か月ぶりのことだ。

内訳を見ると、産地と品種が単一の銘柄米は25円下落して4089円、複数の産地・品種を混ぜたブレンド米などは54円下落して3701円だった。値下がり幅が大きいのはブレンド米のほうで、ブランド力が弱いゾーンから先に値下がりが進む様子が見えている。


値下がりの理由は「卸が在庫を減らしたいから」

今回の値下がりの背景について、農林水産省は「卸売業者が在庫の量を減らそうと、価格を下げて出荷していることが要因」と見ている。

これはどういうことか。

コメの流通は大まかに「農家→集荷業者→卸売業者→小売・スーパー→消費者」という流れをたどる。この中で、卸売業者の段階に今、在庫が積み上がっている。農林水産省のデータでは、2026年1月末時点の民間在庫量は前年同月比で大幅に増加している。

在庫を持ちすぎると、保管コストがかかり続ける。しかも売れないまま時間が経てば、値下がりによる損失も膨らむ。そこで在庫圧縮を優先する動きが出始めた、というのが今回の値下がりの背景だ。

コメの流通に詳しい専門家(ニッセイ基礎研究所)も「コメの在庫が過剰なので、値下げしてでも在庫量を減らすことを事業者が始めて、価格に影響してきた」と分析している。


3980円はまだ「安い」ではない

ここで注意が必要なのは、「3000円台に戻った」からといって「コメが安くなった」わけではない点だ。

以前の価格感覚と比べても、3980円はなお割高感が強い。家計物価(消費者物価指数)で見ても、コメ類の指数は高い水準が続いている。

埼玉県内のあるスーパーでは、昨年末まで5キロ4000円超が主流だったが、ことしに入ってから卸売業者が相次いで値下げを申し出てきたという。現在は3200円台〜4400円台が店頭に並び、3000円台の商品が半分以上を占めるようになった。

そこに来店した20代の男性客は「以前は価格が5キロ4000円を超え、買うのを渋っていたので、安く感じる」と話す。「安く感じる」という表現が象徴的だ。4000円超が当たり前になりすぎて、3980円が「安い」に見える状態になっている。


この下落はいつまで続くのか

冒頭の専門家は、「ことし産のコメの仕入れ価格が見通せるようになる6月ごろに向けて、もう一段下がるのではないか。5キロ税込みで3500円台ぐらいになる可能性もある」と見通しを示した。

在庫を抱えた卸売業者が値下げを進める流れは、少なくとも新米の見通しが立つ夏前まで続く可能性がある、という見立てだ。

ただし、足元の値下がり局面とは別に、今後のコスト上昇要因として原油高リスクがある。現在、中東のイラン情勢の緊張を受けて原油価格が高騰している。これがコメ価格に波及するルートは二つある。一つは、すでに収穫されたコメの輸送費や保管コストへの影響。もう一つは、これから作るコメの燃料代や肥料代の上昇だ。

専門家も「原油価格の高騰や原油の供給不足が長期化してくれば、最終的な小売価格も上昇する可能性がある」と指摘している。在庫圧縮による値下がりトレンドが続く一方、エネルギーコストの上昇が下落を途中で押しとどめるリスクも視野に入れておく必要がある。


小売の現場では「消費が動いていない」

一方で、値下がりが始まっても消費者の反応は鈍い面もある。

前述のスーパーでは、2月に販売されたコメの数量が去年の同じ時期より5%減っていた。店長の八木栄樹さんは「ことしに入っていろんな業者からコメを買ってほしいという申し出があるが、消費者が買ってくれるか分からない。価格をもう一段下げないと、消費は動かないのではないか」と話す。

出典:NHK記事

少なくともこの現場では、値下がりがただちに販売数量の回復につながっていない。消費者がなお価格に慎重である可能性を示している。


まとめると

  • コメの全国平均価格(5キロ)は3980円と、5週連続で下がり7か月ぶりに3000円台に
  • 値下がりの主因は、消費者の需要回復ではなく、卸売業者が在庫圧縮を優先して値下げ出荷していること
  • 3980円は「安い」ではなく、以前の価格水準と比べてもなお割高感が強い水準
  • 専門家は6月ごろに3500円台の可能性も指摘しているが、原油高が長引けばコスト上昇で反転するリスクもある
  • 小売の現場では、値下がりしても販売数量の回復が鈍い状況が続いている

(本稿は各種公開情報をもとに作成しました。一部数値は記事掲載時点の情報です)

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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

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