今週、市場が注目する3つの軸——AI決算・日銀人事・米政治が重なる一週間

目次

今週のスケジュール(2/23〜、日本時間)

  • 2/23(月)祝 天皇誕生日。トランプ新関税の市場反応は海外でチェック。22:00 ウォラーFRB理事が講演
  • 2/24(火) 高市総理への代表質問(衆参、2/26まで)
  • 2/25(水) 一般教書演説(米)。政府、日銀審議委員の人事案を提示か
  • 2/26(木)早朝 NVIDIA(NVDA)・Salesforce(CRM)決算。10:30 日銀・高田審議委員が講演
  • 2/27(金) 8:30 東京都区部CPI。22:30 米PPI(卸売物価)

※予定は変更されることがあります。


注目材料が集中する一週間

今週(2/23〜)は、注目材料が集中する一週間だ。

株式市場を揺らしてきた「AI相場の主役」NVIDIAの決算、日本の金融政策の方向性を左右する日銀人事、そしてトランプ大統領の関税政策と一般教書演説——これほど多くの材料が一週間に集中することは珍しい。

「相場のイベント週」と聞いてもピンとこない人も多いだろう。だが、こうした出来事が株価・金利・為替に波及し、やがて私たちの預金・ローン・物価にも影響を及ぼすことがある。今週の動きは、3つの軸に整理できる。順を追って見ていこう。


軸①:AI決算の行方——NVIDIA(NVDA)とSalesforce(CRM)(2/26早朝)

「AIを作る側」NVIDIA:「過去」より「これから」が問われる

今週最大の注目イベントの一つが、NVIDIA(ティッカー:NVDA)の決算だ。日本時間では2/26早朝に発表される見込みで、世界中の投資家がその内容を待っている。

NVIDIAは、ChatGPTをはじめとするAIを動かすための「頭脳」にあたる半導体(GPU)を作っている会社だ。世界中のデータセンターがこの会社のGPUを競うように買い求めており、ここ数年で株価は大幅に上昇してきた。

決算で投資家が注目するのは、過去の売上や利益ではなく、今後の見通し(ガイダンス)だ。株価は「過去の実績」ではなく「将来への期待」で動くため、「次の四半期にどれだけ稼ぐ見込みか」という数字が市場を動かす。

今回の焦点は主に3点ある。

焦点①:最先端チップ「Blackwell」の供給状況

NVIDIAの最新世代GPU「Blackwell(ブラックウェル)」は、需要が旺盛とされている。だが、どれだけ売れるかは「どれだけ作れるか」に左右される。製造能力(供給)が需要に追いついていなければ、成長の勢いは鈍る。供給制約がどう変化したかは、業績の見通しに直結する。

焦点②:次世代「Rubin」の量産計画

さらに注目されるのが、次の世代「Rubin(ルービン)」の動向だ。「計画がある」ではなく「量産・出荷の段階に入れるか」が問われる。半導体業界では「次の世代が見えると、現行世代の需要が一時的に落ち着く」こともあるため、この話題は慎重に見極める必要がある。

焦点③:大口顧客の購入継続姿勢

Meta(旧Facebook:META)など大手テック企業は、AI開発のためにNVIDIAのGPUを大量に発注している。これらの大口顧客が引き続き積極的に購入する姿勢を示すかどうかは、「AIへの投資熱が続いているか」を測る材料になる。

「AIに迫られる側」Salesforce:「SaaSの死」は本当か

NVIDIAと同日に決算を発表するのが、Salesforce(ティッカー:CRM)だ。こちらは「AIを作る側」ではなく、「AIに迫られる側」として注目されている。

SaaSとは何か

Salesforceは「SaaS(サース)」と呼ばれるビジネスモデルの会社だ。SaaSとは、ソフトウェアをインターネット経由で提供し、月額・年額の「席(アカウント)数」に応じて料金を取る仕組みのことを指す。顧客管理や会計、人事管理など、企業が使う業務ソフトの多くがこの形式だ。

なぜ「死」と言われるのか

最近、「SaaSの死」という言葉が市場で話題になっている。その背景にあるのは、AIエージェントの台頭だ。

AIエージェントとは、人間の代わりに業務を自動でこなすAIのことだ。もしAIが顧客対応や社内処理を自動でやってくれるなら、ソフトウェアを「人が使う席(アカウント)の数」で課金する今のモデルが揺らぐ、という懸念がある。人が画面を触る機会が減るなら、席数課金の根拠がなくなるからだ。

「死」への反論もある

一方で「SaaSは死なない」という見方もある。SaaS企業がAIを自社製品に取り込み、「席課金」から「成果課金」へとビジネスモデルを変化させながら生き残る、あるいはむしろ成長するという読み方だ。

Salesforceの決算では、AIプロダクトの売上がどれだけ伸びているか、そして今後の見通しをどう説明するかが問われる。「席が減る」物語が強まるか、「AIを取り込んで変質する」物語が優勢になるか——今週の決算がその答えのヒントになり得る。


軸②:日本の金融政策の方向性——日銀人事と審議委員の発言(2/25〜2/26)

国内市場では、別の重要なイベントが注目されている。政府が日銀(日本銀行)の審議委員の人事案を提示する可能性があるのだ。

日銀の委員会とは何か

日銀は「金融政策決定会合」という会議で、金利の方針を多数決で決める。この会議のメンバー(審議委員)が誰になるかは、将来の利上げ・利下げの方向性に影響する。委員の顔ぶれが変われば、金利決定の「空気」も変わりうる。

なぜ「高市政権の試金石」と言われるのか

高市政権下で初の日銀人事になり得るため、「政権が金融政策にどんな考えを持っているか」を見極める材料として注目されている。利上げに積極的な委員が選ばれれば「利上げ路線が続く」とのシグナルになり、逆なら円安・金利低下方向への見方が強まる可能性がある。

市場では、金利・為替(円相場)・銀行株が反応しやすい材料とされている。また、将来の日銀総裁人事(約2年後)まで視野に入れた読み方も出てくる。

なお、2/26早朝には日銀の高田審議委員の講演も予定されており、金融政策のスタンスを読む材料として注目される。


軸③:米政治・金利の材料——関税・一般教書・FRB発言、そして週後半の物価指標

関税と一般教書演説(2/25)、FRB発言(2/23)

今週を貫くもう一つの軸が、トランプ大統領の関税政策だ。日本の祝日(2/23)を挟んで、新関税への市場の反応は海外でまず確認されることになる。また、2/25早朝には一般教書演説が予定されており、関税を巡る追加情報が出る可能性がある。

さらにFRB(米中央銀行)のウォラー理事が2/23(日本時間22:00)に講演を行い、金利の見通しについて何らかの発言をする可能性がある。関税によるインフレ圧力が続けば、FRBは利下げをしにくくなる——この構図が米国株・金利・ドル円の方向性を左右し得る。

週後半の追加材料:東京都区部CPI・米PPI(2/27)

週の締めくくりとなる2/27(金)には、物価に関する二つの重要な指標が発表される。

CPI(消費者物価指数)とは、私たちが日常的に買うものの値段がどれだけ上がっているかを示す指標だ。東京都区部のデータは全国に先行して発表されるため、「日本全体のインフレの前哨戦」として市場に注目される。物価が想定より強ければ「日銀が利上げを続けやすい」という読みが広がり、軸②の日銀の判断とも連動して金利や為替が動きやすい。

PPIは企業が仕入れる段階(卸売段階)の物価を示す指標で、消費者物価に先行することも多い。アメリカのインフレが続いていると判断されれば、FRBの利下げ観測が後退し、米金利の上昇・ドル高・グロース株(成長株)の下押し圧力につながることがある。


今週を「一枚」で整理すると

今週は、大きく3つの軸が同時に動く。

  • 軸① AI決算(NVDA+CRM):NVIDIAの決算が次世代AI投資の継続性を示すか。SalesforceがSaaSの未来をどう描くか
  • 軸② 日本の金融政策(日銀人事):人選が高市政権の利上げへの許容度を示すか。高田審議委員の発言も注目
  • 軸③ 米政治・金利(関税・演説・物価指標):一般教書演説とFRB発言が金利観測を動かすか。週末の物価指標が日米の金利・為替に波及するか

市場にとっては「一つでも大きなサプライズが出れば、他にも連鎖して動く」可能性がある一週間だ。決算の数字一つ、人事の名前一つ、演説の言葉一つが、積み重なって「今週の相場の結論」を作る。


本稿は公開情報・市場予定をもとに構成しています。イベントの内容・スケジュールは変更される場合があります。市場の動向は多くの要因に左右されるため、本稿の内容は投資判断の根拠とはなりません。

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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

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