金は「有事の資産」「インフレヘッジ」として長く投資家に選ばれてきました。近年はETF(上場投資信託)を通じて簡単に投資できるようになり、現物を保管する手間なく少額から金を持つことが可能になっています。では、日本に住む私たちが金ETFに投資する場合、どの商品を選ぶのが良いのでしょうか。
金ETFには大きく2つの選択肢がある
金ETFは大きく分けて「国内ETF」と「海外ETF(米国上場)」があります。
- 国内ETFの代表例
- 「純金上場信託(現物国内保管型)1540」
- 東証に上場、日本円で取引
- 裏付けは実際に国内で保管された金
- 特定口座やNISAに対応、税務処理もシンプル
- 海外ETFの代表例
- SPDR Gold Shares(GLD)、iShares Gold Trust(IAU)、SPDR Gold MiniShares(GLDM)など
- ニューヨークに上場、ドル建てで取引
- 世界的な流動性が高く、信託報酬も低い
どちらも「金価格に連動する商品」である点は同じですが、違いは 取引通貨(円かドルか) と 保管場所 にあります。
為替の影響をどう考えるか
金価格は世界的にドル建てで決まります。したがって、日本円で投資する場合は「ドル円の為替レート」も価格に影響します。
以下のグラフは、過去1年間の GLD(ドル建てETF) と 1540(円建てETF)、そして USD/JPY(ドル円レート) を比較したものです。(1年前を100とし、それぞれどれだけ変化したか。)

📊 グラフ解説ポイント:作成 FPTRENDY.com
- 青:GLD(ドル建て)
- オレンジ:1540(円建て)
- 緑点線:ドル円
このグラフから分かる通り、GLDと1540は同じ金を見ているのに動き方が微妙に異なります。差を生んでいるのは為替(ドル円)です。
円安が進むと、1540(円建て)はGLDよりも上に出やすくなります。
逆に円高になると、1540のパフォーマンスはGLDを下回ります。
つまり「同じ金を買っても、どの通貨単位で持つかによって見え方が違う」ということです。
日本人投資家にとって合理的な選択は?
多くの日本人にとって、最終的に資産を使うのは日本円です。生活費、老後の資金、相続など、すべて円で評価されます。したがって「日本円換算で資産を守る」という観点からは、1540(円建てETF)を中心に持つのが合理的 といえます。
一方で、「将来の円安リスクに備えたい」「ドル建てで資産を分散したい」「海外での支出予定がある」といった人は、GLDやIAUなどの米国ETFを組み合わせるのも有効です。
まとめ
- 金ETFは「国内ETF(1540)」と「海外ETF(GLDなど)」に大別できる。
- 両者の違いは 取引通貨(円かドルか)。
- 日本で生活する人にとっては、円換算で資産を守れる1540が基本。
- ただし一部をドル建てで持つことで、円安リスクへの分散効果も期待できる。
金投資は「どの通貨で資産を守りたいか」によって最適解が変わります。グラフが示すように、為替の動きも投資成果に影響することを理解しておくことが大切です。
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- 日本銀行(BOJ)公式サイト ─ 国内金利や政策決定の確認に。
- 米連邦準備制度理事会(FRB)公式サイト ─ FOMCや声明内容はこちら。
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