ベッセント氏とFRB、2つのFF金利シナリオから読み解く「ドル/円」と米2年債利回りの行方

導入

米国の金融市場では、将来の政策金利(FF金利)をどう見通すかによって、債券や為替の動きが大きく変わります。今回は、ベッセント氏とFRBが示す2つの異なる予測シナリオを比較し、それが米2年債利回りにどのような形で反映されるのかを解説します。


FF金利予測:2つのシナリオ

1. ベッセント氏のシナリオ

  • 利下げ開始が早く、ペースも速い。
  • 2026年後半にはFF金利が2.5%台まで低下すると想定。
  • 景気減速やインフレ沈静化を背景に、迅速な金融緩和が必要と判断している可能性が高い。

2. FRBの予測シナリオ

  • 利下げは緩やかに開始し、2026年半ば以降に安定水準へ。
  • 金融緩和は慎重に進め、インフレの再燃リスクを回避する姿勢。
  • 利下げ幅は限定的で、3%台後半〜4%程度を維持する見通し。

2年債利回りの反応の違い

米2年債利回りは、今後2年間の政策金利の平均予想を先取りして動きます。

  • ベッセント氏シナリオの場合:急速な利下げ観測を織り込み、早い段階から大きく低下。2026年には2.5%前後へ。
  • FRBシナリオの場合:利下げが遅くペースも穏やかなため、低下スピードは緩やか。2026年でも3%台前半にとどまる。

市場と為替への影響

  • ベッセント氏のシナリオでは、日米金利差の縮小が早まり、円高圧力が強まる可能性。
  • FRBシナリオでは、金利差が長く維持され、円安基調が続きやすい。
  • 為替相場は、こうした「金利差の縮小スピード」に敏感に反応します。

まとめ

2つの金利シナリオは、スタート地点ではほぼ同じですが、その後の利下げタイミングとペースに明確な差があります。米2年債利回りはその違いを敏感に先取りし、将来の金利水準が近づく頃には両者とも収束しますが、為替や債券市場に与えるインパクトはその過程で大きく異なります。
金利予測を読む際は、最終地点だけでなく、その過程のスピード感にも注目することが重要です。


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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

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