株や債券はどこで守られている?──「ほふり」「DTCC」「カストディアン」の裏側

目次

1. あなたの株券はどこにある?

証券口座に株や債券を保有していると、「この資産は証券会社が保管している」と思いがちです。
しかし実際には、証券会社のサーバーに株券データが直接置かれているわけではありません。
その裏側では、**「中央証券保管機関」と呼ばれる巨大な“電子金庫”**が、あなたの資産を守っています。

こうした仕組みは、普段は意識されにくいものの、世界中の金融取引を支える土台です。
この記事では、日本の「ほふり」、アメリカの「DTCC」、そしてその間で重要な役割を担う「カストディアン」について解説します。


2. 紙からデジタルへ──中央保管機関の誕生

かつて株や債券は紙の証券として発行され、売買のたびに物理的に受け渡されていました。
しかし、この方法は時間もコストもかかり、紛失や偽造のリスクも伴います。

そこで登場したのが、株券を電子化し、安全に一元管理する中央証券保管機関です。
取引が行われると、実物の受け渡しは不要で、中央保管機関の記録が書き換わるだけで決済が完了します。
この仕組みにより、取引は迅速かつ安全に行えるようになりました。


3. 日本の守護神「ほふり」と世界最大の「DTCC」

ほふり(証券保管振替機構)

  • 日本で唯一の中央証券保管機関
  • 株式や国債などの有価証券を電子的に保管し、名義や残高を管理
  • 証券会社間の受け渡しをスムーズにする役割

DTCC(Depository Trust & Clearing Corporation)

  • 米国を拠点とする世界最大の中央証券保管機関
  • 米国株・債券のほとんどをカバーし、年間数京円規模の取引を処理
  • 国際的な証券決済ネットワークの中核を担う

📍 図解ポイント:「ほふり」と「DTCC」の比較図
(日本と米国の地図+電子金庫のイラスト)


4. 証券会社だけじゃない?カストディアンの役割

カストディアン(Custodian)は、投資家の資産を安全に保管・管理する専門銀行です。
証券会社は投資家の売買を仲介しますが、実際の資産保管はカストディアンに委託することが多いです。

カストディアンの役割は次の通りです。

  1. 保管:株式・債券・現金などを安全に管理
  2. 決済:売買成立後の受け渡し(株とお金の交換)を実行
  3. 管理:配当金や利息の受け取り、議決権行使、残高報告など

📍 図解ポイント:「投資家 → 証券会社 → カストディアン → ほふり/DTCC」の流れ図


5. 海外投資の裏側──米国株が届くまでの道のり

例えば日本の投資家が米国株を買う場合、こんな流れになります。

  1. 投資家が日本の証券会社で注文
  2. 日本の証券会社が国内カストディアンに依頼
  3. 国内カストディアンが米国のカストディアンと連携
  4. 米国カストディアンがDTCC経由で株を保管・記録

このように、海外投資では複数のカストディアンと中央保管機関が連携して、資産を守ります。


6. 仮想通貨との違いと接点

Bitcoinなどの仮想通貨は、ほふりやDTCCのような中央保管機関を介さず、ブロックチェーンで取引記録を管理します。
これは分散型台帳で、世界中の参加者が共同で記録を保持します。

ただし、ETFなど証券化された仮想通貨商品は中央保管機関を通じて取引されるため、間接的に関係します。

📍 図解ポイント:中央管理型(株式)と分散型(仮想通貨)の比較図


7. 投資家が知っておくべき理由とリスク管理

この仕組みを理解すると、次のようなメリットがあります。

  • 資産がどこで、誰によって保管されているかが分かる
  • 証券会社破綻時や海外投資時のカストディリスクを把握できる
  • 新しい商品(トークン証券や仮想通貨ETF)にも応用して考えられる

8. まとめ:安心して投資するための知識

「ほふり」や「DTCC」、そしてカストディアンは、普段意識しないものの、投資家の資産を守るために欠かせない存在です。
株や債券を安心して取引できるのは、こうした金融インフラが24時間体制で動いているからこそ。

これらの仕組みを理解することは、資産運用における“守り”の知識となり、長期的に投資を続けるための安心感につながります。


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この記事を書いた人

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士
公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定
・プライマリー・プライベートバンカー
・資産形成コンサルタント
一般社団法人金融財政事情研究会認定
・NISA取引アドバイザー

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