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中国・最優遇貸出金利(ローンプライムレート/LPR)

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中国・最優遇貸出金利(Loan Prime Rate, LPR)は、中国人民銀行(中央銀行)の誘導によって、全国銀行間同業拆借中心(National Interbank Funding Center)が毎月公表する基準貸出金利です。中国語では「贷款市场报价利率」とも表記され、商業銀行が優良企業に適用する貸出金利の平均値を示すものとして、民間の借入コストを測る代表的な指標とされています。

この制度は2019年に本格導入され、中国の金利政策の運用実態がより市場ベースに近づく転換点となりました。LPRは毎月20日頃に発表され、主に1年物と5年物の2種類が提示されます。1年物は企業向け短期融資の基準、5年物は住宅ローン金利の目安として使われ、個人にも直接的な影響を及ぼす重要な金利水準です。

これまで中国では、商業銀行が人民銀行の「基準貸出金利(基準金利)」をもとに融資を行うという、やや管理色の強い制度が主流でした。しかし、LPR制度の導入によって、市場の金利変動(特に人民銀行が設定する中期貸出制度:MLF金利)を反映した、より柔軟で透明性のある融資環境が整えられました。

LPRの数値が引き下げられると、企業の借入コストが低下しやすくなり、設備投資や雇用の促進要因となります。また、住宅ローン金利の基準ともなる5年物LPRが下がれば、不動産市場の刺激にもつながります。反対に、金利が据え置かれたり引き上げられたりすれば、景気抑制の意図があると見なされることもあります。

国際的には、アメリカの政策金利であるFF金利や、日本の無担保コール翌日物金利と同様に、LPRは中国の金融政策スタンスを推測するうえで重要な手がかりです。特に中国では政策金利そのものが頻繁に変更されることは少ないため、LPRの変動が金融政策の“実質的な方向性”を示すシグナルと受け止められています。

このように、中国・最優遇貸出金利(LPR)は、景気対策、不動産政策、企業金融コストと密接に結びついた経済の羅針盤として、国内外の投資家や政策関係者に広く注目されている指標です。

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