第1章|この税制改正、何がどう変わる?
令和7年度 税制改正の「着眼ポイント」をざっくり押さえる
2025年度(令和7年度)の税制改正では、所得税・法人税・相続税・消費税といった幅広い分野にわたり、企業・個人の双方に影響を与える改正が多数盛り込まれました。
本シリーズでは、大綱に沿って章立てで詳しく内容を解説していきますが、まずこの導入章では、“とにかく押さえておきたい主要改正点”をコンパクトにまとめてご紹介します。制度全体の大枠をイメージするのに、まずはこちらをご覧ください。
✅ 所得税の注目改正
● 103万円の壁が「123万円」に引き上げ(2025年1月〜)
これまで配偶者控除や扶養控除の対象となる“103万円の壁”が、2025年から123万円に引き上げられます。これにより、アルバイトやパートで働く人が“控除枠を意識して労働時間をセーブする”必要が軽減され、より柔軟に働きやすくなります。
大学生の子どもについても、アルバイト収入150万円まで扶養を維持できる新ルールが整備される見込みです。
● エンジェル税制の拡充(2026年1月〜)
スタートアップ企業への投資を促進する「エンジェル税制」では、これまで投資と譲渡が同じ年でなければ非課税適用できませんでしたが、今回の改正により、翌年の譲渡でも非課税適用可能となります(上限20億円まで)。
✅ 法人税の注目改正
● 中小企業の軽減税率が2年延長(〜2028年3月)
資本金1億円以下の法人に適用される15%の軽減税率が2年間延長されます。一方で、**所得10億円超の大企業には圧縮(2%縮小)**が加わり、段階的な負担見直しも始まります。
● 防衛特別法人税の創設(2026年4月〜)
防衛財源確保の一環として、法人税額に4%上乗せされる「防衛特別法人税」が導入予定です。
✅ 相続税・贈与税の注目改正
● 事業承継税制の要件緩和(2025年1月〜)
従来は、贈与前に3年以上の役員就任歴が必要でしたが、今回の改正により、贈与直前の役員就任でも事業承継税制の適用が可能となりました。円滑な承継支援を目的としています。
✅ 消費税の注目改正
● 外国人旅行者の免税制度の見直し(2026年11月〜)
訪日外国人の買い物に適用される免税制度について、**不正利用を防止するため、従来の“レジ免税”から“リファンド方式”**に切り替わります。観光と税の管理がより厳格化される流れです。
📘 次章からの構成について
この導入章では、「どこがどう変わるか」のポイントだけを取り上げましたが、今後の記事では以下のような章立てで、税目ごとに詳細を解説していきます。
- 第2章|所得税の改正(基礎控除・年金・医療費・住宅・NISA など)
- 第3章|法人課税の改正(中小企業税率、防衛特別法人税など)
- 第4章|資産課税・相続・贈与の改正
- 第5章|消費税やたばこ税などの間接税の改正
- 第6章|その他の制度改正(免税制度、PB営業向け解説 など)
ぜひ引き続きご覧ください。
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【外部関連リンク】
- 日本銀行(BOJ)公式サイト ─ 国内金利や政策決定の確認に。
- 米連邦準備制度理事会(FRB)公式サイト ─ FOMCや声明内容はこちら。
- Bloomberg(ブルームバーグ日本版) ─ 世界の金融・経済ニュースを網羅。
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