2025年7月31日、クラウド型UIデザインツールを手がける米Figma(フィグマ)がニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場し、ティッカーシンボル「FIG」で取引を開始しました。
IPO価格を大きく上回るスタートとなり、市場の期待感を強く印象づけました。本記事では、Figmaの上場の背景や今後の成長性、そしてCanvaとの違いをわかりやすく解説します。
Figmaとは?──プロ向けのUI/UXデザインツール
Figmaは、Webブラウザ上で動作するUI/UXデザインツールとして2012年に米国で創業されました。
特にアプリやWebサイトの設計に特化しており、プロのデザイナーやエンジニア、プロダクトマネージャーを主なユーザーとしています。
- ベクター形式での正確なデザイン操作
- 開発者との連携機能(コード抽出など)
- コンポーネントによるデザイン資産の一元管理
- 複数人でのリアルタイム共同編集(Google Docsのような体験)
これらの機能が高く評価され、GoogleやNetflix、Zoomなど多数のテック企業が導入しています。
Canvaとはどう違う?
一方、Canva(キャンバ)は一般ユーザーやマーケティング担当者向けのグラフィック作成ツールです。
SNS投稿画像、プレゼン資料、チラシ、動画などをテンプレートベースで簡単に作れるのが特徴です。
項目 | Figma | Canva |
---|---|---|
主な用途 | UI/UXデザイン(アプリ設計など) | グラフィック全般(SNS、チラシなど) |
ターゲット | デザイナー・開発者 | 一般ユーザー・マーケター |
操作性 | 高度・精密 | 直感的・簡易的 |
共同編集 | 非常に強力(開発連携も可能) | あり(基本的な共同作業向け) |
つまり、Figmaは建築設計に使うCADのようなツール、Canvaはパワーポイントに近い感覚のデザインツールと言えるでしょう。
FigmaのIPO概要──株価は初日で3倍超に

今回のFigmaのIPOでは、以下のような驚異的な数値が示されました。
- 上場日:2025年7月31日
- IPO価格:1株あたり33ドル
- 初値:約85ドル(+158%)
- 終値:115.50ドル(+250%)
- 評価額:初日の時価総額は約680億ドルに到達
- 調達規模:12.2億ドル(新規発行+既存株主の売却)
- 引受幹事:Morgan Stanley、Goldman Sachsなど大手が参加
2019年〜2023年の低迷を経て、米テックIPO市場に再び火をつける存在となりました。
Adobeによる買収撤回と“独立路線”の評価
Figmaは2022年、Adobeによる200億ドル規模の買収提案を受けましたが、各国の規制当局による調査の末、2023年末に正式に破談。
その際、Adobeから約10億ドルの違約金を受け取り、結果として“独立企業”としての評価が高まりました。
市場では「もしAdobe傘下になっていたら、ここまでの成長性や柔軟な開発は難しかった」との声もあり、今回の上場はFigmaの独自性と技術的優位を再評価する契機となっています。
今後の成長性──「AI×デザイン」で市場を拡大
Figmaは2025年5月、年次カンファレンス「Config 2025」で以下のような新機能を発表しています。
- Figma Sites:Webページを構造ごとに自動生成
- Figma Make:AIがデザイン提案
- Figma Buzz:開発チーム向けに議論やメモを可視化
- Figma Draw:AIベースの手書き補完・変換機能
AI機能を本格実装することで、プロダクト開発のスピードと柔軟性を高め、非デザイナー層への普及も狙っています。
結論──Figmaは“プロのための設計ツール”として独自の進化へ
FigmaはCanvaのような「簡単なデザインツール」ではなく、アプリやWebサービスを本格的に作り上げる設計の中核ツールとして成長してきました。
上場によって得た資金と評価は、今後の製品進化とグローバル展開に大きく寄与するとみられています。
特に「AI×UI/UX設計」の分野では今後さらに注目を集める存在になるでしょう。
Figmaの上場は、単なる株式公開ではなく、クラウドコラボレーションとAI時代の“設計のあり方”そのものを問い直す節目と言えるかもしれません。
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